誤訳をしないための翻訳英和辞典
河野 一郎

定価: ¥ 1,680
販売価格: ¥ 1,680
たとえば、"If you know what I mean/ I don't ever wanna hear that ...
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発売日: 2002-02-01
発売元: DHC
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たとえば、"If you know what I mean/ I don't ever wanna hear that song again."(ポップ曲「Please Mister, Please」)のif節はどう訳したらいいのか。CDの解説書はここを「私の気持ちをわかってちょうだい」と訳しているけれど、正しくは「あのね、はっきり言っておくけど、だってねえ」なんだそうだ。どうやら翻訳者が陥る誤訳のワナは、難しい言葉にではなく、こんな日常的な言い回しに潜んでいるらしい。 著者は『遠い声 遠い部屋』(トルーマン・カポーティ)、『南回帰線』(ヘンリー・ミラー)、『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ)など名著の翻訳を数多く手がけてきた東京外国語大学名誉教授。英語と日本語の隅々まで行き届いたその目配りに、まず、心地よいショックを覚える。「辞典」と銘打ってはいるが、いたるところで目からウロコの落ちる楽しい読み物なのだ。 名訳とされている『嵐が丘』の中で、「小説家でもあったさる著名な英文学者」が"He murmured aloud"を「彼は大声でつぶやいた」と訳している、という指摘は痛快だ。大家(もしかしたら阿部知二?)が、「aloud」に「ひとりごとを言う」という意味もあることを知らなかったなんて。思わず手を打って、喜んでしまう。 「辞典」の「ancient」の項では、こんなエピソードが紹介されている。映画『黄昏(たそがれ)』で主人公に扮したヘンリー・フォンダが、"I'm ancient"とつぶやく場面がある。「ancient」はアメリカの口語で 「very, very old」という意味の言葉だが、評論家の「故H氏」が「この科白にはまいったな、彼は自分はもう<人間>じゃない、<古代生物>だと言っているんですよ」と、新聞や雑誌で絶賛していたという。 実はこの本は、こんなよこしまな読み方をしてはいけないのである。著者が「まえがき」で断っているように「本書は誤訳指摘を目的として書いたものではない」。英語を勉強したことのあるものなら誰でも知っている 「a」「about」「and」から「you see/you know」までの、意外に知られていない用法を豊富な具体例から教えてくれる。しかし、決して固苦しい語学参考書ではない。あくまでも楽しい読み物なのである。(伊藤延司)
簡単だと思った表現の落とし穴。
「その英語表現は日本語では表せない」という言葉を耳にします。
確かに存在するかもしれませんが、多くの場合、当人の英語力不足
によるものが多いと思います。
この本は、一見したら日本語にならないような表現を
上手く、明快に説明しています。
そして何より、マニアックな表現集ではなく「分かりそうで分からない」
「分かったフリで済ませてしまう」そんな項目が集められています。
本当に力のある人による、確かな本の一つです。
本当の英語学習書
その辺にころがっている英語本とは一線を画する、読んでためになる本である。
最近、世間ではTOEICやTOEFLで高得点を得るための学習のみが英語の学習のように捉えられていてまことに嘆かわしい状況であるが、そうした学習は外国語学習のほんの一部であって、どちらかといえば低い次元の作業である。本当の外国語学習は地理・文化・歴史・思想・伝統なども含めて「人間を理解するための作業」である。
本書で記述されていることの多くは、まともに英語学習に取り組んだことがある人ならば既に気づいているはずのことだが、それでも一読の価値は十分にある。英語の学習の奥深いところには、文法・音声・語彙の他に広大な平野が広がっていることがわかるはずである。
しかし、いくつか腑に落ちない部分もある。例えば、pp. 224-225の記述において、米国ポップカルチャーでは常識だと思うが、bop-till-you-dropへの言及がない。意図的かもしれないが併せて覚えておきたい知識だと思うが。
翻訳中級者のみならず、日本語訳を上手にこなしたい人への一冊
タイトルは「辞典」となっているが、どちらかというと辞典としての使い方も出来る読み物。河野先生が長年培ってきた翻訳に関する知識、骨がたっぷり入っていて、非常に読み応えのある一冊。学生を対象とした講義を長年経験されているので、若い人にも読みやすく、わかりやすいよう気が配られている。翻訳者のみならず、英語を勉強するすべてに人におすすめ。
ちなみに、レビューの中で本書121ページの「green」を誤訳と指摘しているレビューアーがいますが、続く122ページを読めばその指摘が誤りだということが分かります。原文(英文)の文脈からも、そのレビューアーの訳よりも河野先生の訳の方が適切であることは明らかです。